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えいようのお話 no.7【たんぱく質について②】

2023.03.10

 

3月になり、だんだんと暖かくなってきましたね!

花粉がつらい季節ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

 

さて、先月に引き続き今月もたんぱく質についてお話したいと思います!

前回のブログをご覧になっていない方はぜひこちらからチェックしてみてください!

→ https://www.epoch-sportsclub.jp/epoch/index.php/shop/blog/3/detail/2712

今回は主にたんぱく質の摂取量やそのタイミングなどについてお話していきます。

 

 

・体重1kg当たり1gは摂取する

 たんぱく質は、体内のさまざまな器官を形作ったり、免疫機能に関係したりするなど多くの働きがあります。特に、最近では高齢者をはじめとした人々の筋肉量維持のために積極的にとることが推奨されています。

 食事摂取基準では、推奨量(ほとんどの人が充足する量)が示されており、おおよそ体重1kg当たり1gに近い値です。しかし、実際の食生活では、高たんぱく質の食品が多く手に入ることもあり、もう少し多く摂取していることが多いです。聡エネルギー摂取量のうち、約15%はたんぱく質から摂取しているのが現状です。

 

たんぱく質の摂取基準 推奨量(g/日)

年齢 8~9歳 10~11歳 12~14歳 15~17歳 18~29歳 30~49歳 50~64歳 65~74歳 75歳以上
40 45 60 65 65 65 65 60 60
40 50 55 55 50 50 50 50 50

*妊婦(中期)付加量+5、妊婦(後期)付加量+25、授乳婦付加量+20

*目標量は、男女とも1~49歳(+妊婦〈初期・中期〉)で13~20%エネルギー、50~64歳で14~20%エネルギー、65歳以上(+妊婦〈後期〉)で15~20%エネルギーとされています。

 

【たんぱく質の1日の摂取量(目安)】

50歳男性(体重60kg、身体活動レベル:ふつう)の場合

①体重で考えると、1kg当たり1.0g~1.2g ⇒ 60g~72g

②食事摂取基準(推奨量)⇒ 65g

③食事摂取基準(目標量)⇒ 14~20%・・・エネルギー2600kcal*の場合 ⇒ 91g~130g

*1日に必要なエネルギー(推定エネルギー必要量)の目安。身体活動レベル:ふつうの場合

 

 

・動物性も植物性も偏らずにとりたい

 高たんぱく質食品群とされる魚や卵、肉、大豆からの摂取は全体の半分程度で、穀類やいも、野菜などさまざまな食品からたんぱく質をとっています。

 植物性食品からとるたんぱく質量と動物性食品からとるたんぱく質量は同じくらいがよいとされます。大豆はアミノ酸スコアが100で、肉や魚に並ぶ良質なたんぱく質源です。食物繊維やフィトケミカルなどの栄養素も含まれることから、動物性食品に偏らずに、たんぱく質を摂取することが大切です。

 

【 たんぱく質を多く含む食品1食当たりの含有量】

穀物

精白米ご飯

(茶碗1杯=150g)

3g

食パン(5枚切り)

(1枚=72g)

5.3g
納豆(1パック=40g) 5.8g
絹ごし豆腐(100g) 5.3g

魚介 たら(1切れ=70g) 9.9g

まぐろ(赤身)

(刺身3切れ=60g)

13.4g
豚ヒレ肉(60g) 11.1g
鶏ささみ(1本=60g) 11.8g
鶏卵(1個=50g) 5.7g
牛乳(コップ1杯=200cc) 6.3g

 

 

・運動をする人のためのたんぱく質

 体たんぱく質合成(食事からとったたんぱく質がアミノ酸として体内に入った後に、体内で筋肉や血液が作られること)に利用されるたんぱく質の上限は1日、体重1kg当たり2g程度とされています。筋肉量を増やしたい場合でも、これを超えない範囲で食事をとったほうがよいでしょう。

 なお、運動直後は体たんぱく質の合成が活発になるため、たんぱく質を摂取することがすすめられますが、運動直後にこだわらず、毎食の食事できちんとたんぱく質をとっておくことが大切です。

               ランニングマシンで走る人達のイラスト             ダンベルを持ち上げる女性のイラスト

 

・たんぱく質の消化吸収時間

 たんぱく質の摂取は、摂取量だけでなく摂取するタイミングも重要になるため、摂取した食材がどれぐらいの時間で消化吸収されるのか、ある程度の目安を知っておくことが効率的なたんぱく質摂取につながります。

 食材によって消化吸収にかかる時間は異なり、肉や魚などの固形物は基本的に消化吸収に時間がかかります。本来、固形物も加熱すると消化されやすくなりますが、炒め物やフライといった料理では分解に時間がかかる油と一緒に食べることになるため、その分消化が遅くなってしまいます。

 大豆食品は、消化しにくい食物繊維や脂質を含んでいますが、豆腐は食物繊維がかなり取り除かれているため、消化はやや速くなります。

 サプリメントは、商品の形態によって消化吸収速度が異なるものの、食品に比べて消化吸収が速いです。しかし、大豆から作るソイプロテインや、カゼインプロテインは長時間かけて消化されていきます。

消化吸収の速度

速い   ←  ←  ←  ←  ←  ←  ←  ←  ←  ←   遅い

液体 粉末 固形
液体は最も消化吸収が速いです。粉状のサプリメントも水に溶かすことで素早く吸収されます。 粉末や粉状のサプリメントも消化吸収が速いです。最近の商品はより水に溶けやすくなっています。 固形の食材は消化吸収に時間がかかります。脂身の多い肉や揚げ物はさらに消化が遅くなります。

    プロテインシェイカーのイラスト        プロテインのイラスト    とんかつのイラスト

 

 

 

・たんぱく質の摂取タイミング

・筋トレ前のタンパク質補給

 ボディビルダーやアスリートが筋トレを行う場合、筋トレの前後にタンパク質やアミノ酸を補給しています。エネルギー源となる糖質だけでなく、なぜタンパク質も摂るのでしょうか。

高強度の筋トレでは、筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンだけでなく、必須アミノ酸のBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)も筋肉のエネルギー源として消費されます。

 BCAAは筋タンパク質を構成する主要なアミノ酸で、筋肉へのBCAA補給がなければ、体は筋肉を分解してBCAAを生み出さなければなりません。また、糖代謝が進むと血糖値維持のためにも筋肉の分解は起こってしまいます(糖新生)。これらの筋肉の分解をできる限り抑えることが、筋肥大には重要となるのです。そのためには、筋トレ前に血中の必須アミノ酸濃度を高めておくことが有効で、実際に筋トレ開始前にアミノ酸を摂ると、筋タンパク質合成の反応は高まることが研究で分かっています。

             柔軟体操をする男性のイラスト              準備運動のイラスト(肩)

 

・筋トレ後のタンパク質補給

 筋トレ終了後は、ホルモンの分泌などにより筋タンパク質合成反応が高い状態(ゴールデンタイム)です。筋トレ後は筋肉の分解と合成が同時進行しているため、合成反応が高いうちに筋肥大の材料となるタンパク質を十分に補充することが重要となります。

 筋トレ終了直後と、筋トレ終了2時間後のタンパク質摂取効果を比較した実験では、筋トレ終了直後にタンパク質を摂取したグループに高い筋肥大効果が表れました 。タンパク質をプロテインで摂取しても、消化吸収に1時間程度はかかるため、筋トレ終了から2時間後の摂取では、合成反応が最も高い時にタンパク質を補充できません。それが筋肥大効果の差になったと考えられています。さらに近年では、トレーニング中にもBCAAやプロテインを摂取し、できるだけ血中アミノ酸濃度が下がらないようにケアしているビルダーやアスリートも増えているようです。

              疲れている子供のイラスト(男の子)              水分補給のイラスト(女性)

 

 

・1回20gが目安

 筋肥大の材料となる体内の遊離アミノ酸は常に一定量に保たれ、ストックされるアミノ酸の量には限度があります。タンパク質を一度にたくさん摂っても、余剰分は筋肉になりません。

 筋トレを4カ月以上継続している男性6人に対して、筋トレ終了直後にタンパク質をそれぞれ0g(摂取なし)、5g、10g、20g、40gを摂取させ、筋タンパク質合成反応のレベルを測定したところ、タンパク質摂取量が20g以上になると、合成反応はそれほど上がらないという結果が出ました。

 この実験結果が示すように、1回のタンパク質摂取量はだいたい20gがひとつの目安となっています。しかし、筋肥大効果を限界まで得るため、1回に40~50gのクンパク質を摂取するボディビルダーも少なくありません。内蔵への負担も考慮すると、まずは1回に20g程度の摂取を目安にして、筋肥大効果が上がらなければ徐々に摂取量を増やしていけば良いでしょう。

                  調理器具のイラスト「料理用はかり」        たんぱく質のイラスト(栄養素)

 

 

・3~4時間間隔で摂取する

 筋トレ終了後24時間のタンパク質摂取を考える時、重要となるのが摂取する間隔です。筋タンパク質合成の反応が高い間は、できるだけ筋肉の合成が分解より優位となるように意識することが筋肥大効果を高めるポイントとなります。

 人体には誰でも、筋肉の分解が進行している状態を感知する機能が備わっています。それが「空腹感」です。空腹を感じる時は、体内の糖質が減って血糖値が低くなっている状態です。それは体内のアミノ酸がエネルギーとして利用され、筋肉の分解が進行している状態でもあります。つまり空腹感が強くなる前にタンパク質を摂れば、必須アミノ酸もエネルギーも補充できるため、筋肉の分解が最小限に抑えられると考えられます。

 空腹感が強くなる前にタンパク質を摂るには、だいたい3~4時間の摂取間隔が理想です。それを実行するには、3食の間や就寝前にもタンパク質を摂ることが必要となってきます。

 

 

 たんぱく質の摂取を日常生活に組み込むためには、習慣化することがポイントです。

 規則正しい摂取が続けられるように、1日の摂取タイミングを決めて、日常のリズムにたんぱく質摂取を組み入れていきましょう!

 たんぱく質摂取を日常化するには、まず起床時間を決めると良いです。起床時間が固定されれば、三食のタイミングもほぼ決まってくるため、おのずと間食を摂る時間も固定されてきます。

 トレーニングを行う曜日や時間も毎週揃えると規則正しい摂取につながるため、ぜひ当店でお気に入りのレッスンなどを見つけて規則正しい摂取を心がけていきましょう!

 

 

 

                                         管理栄養士  上野 琳太郎